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がん放置療法のすすめ→癌で何もしないことが有効な治療法となる場合がある



がん治療の方法として「がん放置療法」を近藤誠医師は勧めている。

「がん放置療法」とはがんの治療をしないこと。
がんは発生場所や症状、年齢、進行度によって全く異なったものとなり、治療方法をひとまとめにすることができない。

しかし
「がん放置療法」という考え方があることを知っておくことは極めて大事なことである。

「がん放置療法」を知らなければ
手術第一主義の医者がほとんどであるから、直ちに手術で患部切除が行われ、もはや取り返しのつかないことになってしまう。

がんになったとき慌ててはいけない。
がんを放置することがもっとも有効な治療法である場合がほとんどであるから。


近藤誠氏はがんは2種類あるとしている。

「本物のがん」と「がんもどき」

放置しても転移することがない「がんもどき」

どんな治療をしても治らない「本物のがん」


がんが「がんもどき」「本物のがん」いずれであっても、「がん放置療法」という考え方は有効である。


「がんもどき」であった場合、

がんを放置することは最善の治療方法となる。
何もしないで、定期的に検診を行い、経過を観察するだけですむ。
「がんもどき」=放置しても転移することがないがん、なので、やがてがんは消失していく。

一方

「本物のがん」であった場合でも
がんを放置することには、メリットがある。

がんを放置することでより長く生きることができる。
うまくいけば、がんを抱えたまま天寿を全うできるかもしれない。

なぜがんを放置すれば、長生きできるのか?
言い換えれば、
がん手術を行わないことが、より長く生きる上では重要である。

がん手術のデメリットとは

①がん手術によって「基底膜」が傷つけられる。


「本物のがん」が転移するための最大の障壁が「基底膜」。
手術は、この防壁「基底膜」を破壊すること

「本物のがん」=「転移能力を持つがん」の進行プロセス。
がん細胞化した上皮細胞が基底膜というバリアを超えなければ、転移は起こらない。
基底膜を越えるために「本物のがん」は特殊なタンパクを出す。
タンパクが基底膜を溶かして、がん細胞が外に出る。
がん細胞がタンパクを出すことが転移の必須条件となる。
ところが
手術することで基底膜を傷つければ、タンパクの助けを借りずに容易にがん細胞が外にでることができる。
その結果
がん転移が促進される。

012701.jpg


②がん手術をすることは、腹膜転移を進めること。

腹膜が、がん細胞に対するバリアーの役割を果たしている。

腹膜にびっしり転移が存在していても、それだけでは症状は以外と軽く、腸閉塞もあまりみられない。
(腸閉塞が見られるのは、手術後。)

つまり自然状態では、転移病巣は腹膜の奥にむかって成長する力は弱い。

腹膜ががん細胞に対するバリアーの役割を果たしている時に、
腹膜を切り裂くのは、泥棒が高い塀を越えられないのに、塀を壊してあげるのに似ています。
腹膜の向こう側に達したがん細胞は悠々と増殖することができ、腸閉塞をも引き起こすのです。



http://www.weblio.jp/wkpja/content/%E7%B6%B2%E5%9A%A2_%E7%B6%B2%E5%9A%A2%E3%81%AE%E6%A6%82%E8%A6%81
腹膜は赤線
臓器の周辺を覆っている。
腹膜はがん細胞の侵入を防ぐバリアとなっている。

102701.jpg





012601.jpg


腹膜転移はどのようにして生じるのか。
胃癌の場合は、粘膜下層、筋層を通って、腹膜に達します。
これらの細胞の中には、腹腔にこぼれ落ちる細胞が生じ、正常でも、少量存在する腹水の中を漂うことになる。
しかし、別部位の腹膜に取り付いて増殖するには若干特殊な能力を必要とするようです。
という理由は第一に鍵穴と鍵物質の関係。

第二には腹膜にびっしり転移が存在していても、それだけでは症状は以外と軽く、腸閉塞もあまりみられない。
(腸閉塞が見られるのは、手術後。)
つまり自然状態では、転移病巣は腹膜の奥にむかって成長する力は弱いようなのです。
それなのに手術でお腹を切り裂いたらどうなるか。

腹膜ががん細胞に対するバリアーの役割を果たしている時に、
腹膜を切り裂くのは、泥棒が高い塀を越えられないのに、塀を壊してあげるのに似ています。
腹膜の向こう側に達したがん細胞は悠々と増殖炉することができ、腸閉塞をも引き起こすのです。

上述したことは腹膜転移が見られる
大腸がん、膵臓がん、卵巣がんにも妥当します。

では患者、家族はどのように行動したら良いのか。

1999年11月、当時62歳の男性が、早期胃癌との診断で胃の摘出手術を勧められ、私の外来を受診されました。
精密検査の結果、一応早期がんですが粘膜下層にまで達しており、直径は5センチ。
生検では「未分化がん」との診断でした。胃の「未分化がん」にはタチのよいのも含まれますが、
他方でタチの悪いスキルスがんも「未分化がん」です。この患者さんは、一応早期がんでも、スキルスがんの前身である可能性が高いと考えました。


検査結果が揃ったところで私は説明を始めました。

早期胃がんで、粘膜下層に留まっているという診断です。
ただし、がんがどこまで達しているかは断定できず、スキルスがんの一歩手前の可能性もある。
どの病院でも、手術を勧められるでしょう。
しかし、
手術が妥当かは別問題です。まず手術した場合を説明しましょう。
あなたは胃の部分摘出術になるでしょうが、開腹して、がんが予想以上に広がっていた場合には、全摘術になる。
手術の合併症、後遺症は私の本をお読みになったそうなので、何か分からないことがあれば、質問して下さい。
胃のスキルスがんは、タチが悪いと言われているが、血流を介した転移傾向は少なく、たいていの場合、死因は腹膜転移です。

もし腹膜に達していたなら、手術すると、寿命は確実に、縮まります。

逸見さんのように、一年以内の可能性も高く、五年生きられる人は一パーセント程度でしょう。

次に手術しなかった場合ですが、がん細胞が腹膜に達っしていない場合には、放っておいても腹膜に達することができず、天寿をまっとうできる可能性がある。
が、あなたの具体的余命は不明です。

こういうばあい、これから一年の間に死亡する可能性がどれほどあるか考え、一年間生きることができたら、次の一年の予想を立てるのがよいでしょう。

あなたの場合、放っておいても、これから一年の間に死亡する可能生はゼロです。

一年以内に死亡する可能性があるのは、胃摘出手術した場合と、抗がん剤治療をした場合だけです。

胃袋は放射線感受性が高い臓器で、放射線治療で重篤な合併症が生じる可能性がある。
取るべき症状がないという、あなたの現在の状態では、放射線治療はお勧めできない。

もっとがんが増大して、閉塞症状等が生じてきたら、放射線治療が妥当な場合もありえます。

説明終了後、このまま仕事を続けたいとの希望で、半年に一度、検査や診療をすることになりました。
原発病巣はだんだん進行し、2001年4月の検査では、はっきり筋層に入っているという見立てでした。

それでも本人は手術を希望せず、私も手術を勧めることはなく、2002年10月には腹膜に達している可能性があると診断され、2006年9月には、腹膜に達していると診断されました。
それでも元気でしたところが初診時から9年立った2008年9月に、大便が細くなったとの訴えがあった。おそらく腹膜転移が大腸周囲にはびこって、内腔を狭めたものと思われます。

そのまま様子を見ると、2009年1月には、調子が悪い、食が減った、便通が良くない、ときどき下腹部が痛い等の訴えがあった。

すべて腹膜転移で説明できますが、根本的な治療がないので、下剤等の対症療法をしました。
体調はゆっくり低下していきました。
しかし、仕事は続けられました。
そして10月に、近所の病院に入院。
息子さんの話では、最後まで意識ははっきりしていたが、肺に水が溜まって苦しくなり、麻薬の増量を希望され、2009年10月18日に亡くなられたとのことです。享年72。合掌。

この方の経過について2点だけ指摘しておきましょう。
経過から見て、初診時から腹膜転移があったと考えるのが妥当で、手術をしていれば、一年、二年の命だったはずです。
それが10年生きることができました。
第二には腹膜転移による症状が出現しましたが、食事も可能でした。
食べたものを吐く、それを軽減するための鼻から腸までのチューブを入れておくといった、手術後に生じる腸閉塞症状とは雲泥の差です。
胃癌の胃摘出手術には、得になることは一つもないようだと改めて実感した次第です。
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感想

とてもわかりやすく、現在のがん治療の問題点がよく分かりました。がんと宣告されたら、近藤先生にぜひ相談したいですね。
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