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林眞須美の和歌山毒カレー事件も冤罪?

高橋清隆氏が『偽装報道を見抜け!』(ナビ出版)でこう言っている。

 「(マスコミが)うその事件報道を時折、大々的に行うのはなぜだろう。鈴木宗男氏は植草一秀氏のように、国策逮捕による見せしめもあるだろう。しかし、政治力もない一般人をさらし者にするのをどう考えたらいいのか。しかもやっていない人を。もちろん畠山被告や三浦一義元被告のように警察に抗して真犯人を突き止めようとした腹いせの要素もあると思われるが、それだけだろうか。
 恐らく、体制維持のためにいけにえに違いない。極悪人が近所を徘徊しているのではないかと不安になれば、警察権力への依存心が強まる。」

「『悪魔が日本を嘲笑っている』有賀裕二(第一企画出版)によれば、支配者は警察予備隊として発足させた自衛隊の内部組織を使って数々の事件を起こしてきたという。いずれにしても、警察が手を出せない特権集団が暗躍していることは間違いなさそうだ。」 とも書かれている。



今ではこの「和歌山毒カレー事件」を冤罪だと私は確信し、こんな裁判がよくまかり通ってきたものだと呆れている

カレー事件のようなことが起こって大騒ぎになれば、眞須美被告人はむしろ困る立場だったのだ。一円の得にもならない上、過去の保険金詐欺が発覚するリスクを背負ってまで、眞須美被告人がカレーに亜ヒ酸を混入したくなる動機など、何かありえるだろうか? 事件発生当時から指摘されていたこの疑問について、裁判で答えは何も見つかっていない。

保険業界の内部事情に精通した眞須美被告人が保険金詐欺の主犯で、共犯者の夫にすらも保険金目的でヒ素を飲ませていたと捜査本部が目星をつけ、それにマスコミも一斉に追随したわけだ。あの保険金疑惑報道によって当時、眞須美被告人がカレー事件の犯人だという心証を固めた人は決して少なくなかったろう。
 しかし、カレー事件と保険金詐欺はあくまで「別の事件」である。洪水のような犯人視報道と裏腹に、眞須美被告人を犯人とする証拠はきわめて貧しいのがカレー事件の実態だ。

健治氏は一審でこそ曖昧な証言に終始したが、二審では「保険金目的でヒ素は自分で飲んでいた」と、自分と妻が純粋な共犯関係だったと訴えている。詳細は割愛するが、その証言は、眞須美被告人の証言と細部までほとんど合致するものだった。

唯一物証とされた真須美被告宅から押収されたと言う(砒素が僅かに付着していた)プラスティックのコップは、警察の捏造としか考えれない、いわく付きのものだ。
警察は、80人以上の捜査官を無人の真須美被告宅に行かせ終日、物証を探させたが、二日たっても何も発見できなかった。それなのに3日目に、台所のありふれた場所から、このコップを発見、押収したという。問題は、このコップには指紋が全く付いて無かったという点だ。
えーっ!指紋が付いていない?そんな馬鹿な!
もし、それが真実なら、指紋を故意に消したとしか考えられないが、真須美被告が消す必要は無いはずだ。もし、仮に犯行に使ったコップなら、丹念に洗ったとしても、指紋を消す必要はない。自分の家に置いているものである以上、指紋など消さなくても真須美被告のものであることは、明々白々な事実だから。
指紋が全く付いていないのは、指紋を付けたくても、指紋をつけられ無かったからであって・・・・
二日間の大捜査で、物証が全くなくて焦った警察の何者かが、コッソリ置くことで、他の捜査員が発見するという 捏造の線しか考えられない。


いくつかある証拠の亜ヒ酸の中でも、何より不自然さが際立つのが、眞須美被告人の自宅の台所から発見された「プラスチック容器」に付着していた亜ヒ酸だ。
 まず、このプラスチック容器は、事件発生から約2ヶ月以上経ち、眞須美被告人が逮捕された後の家宅捜索で発見されている。つまり、眞須美被告人が本当に犯人ならば、そんな重要証拠を2ヶ月以上も自宅に置きっぱなしにしたことになるわけだ。
 この不自然さを二審判決は「被告人はマスコミの取材攻勢に遭い、同容器を投棄するなどして処分するのが困難な状況であった。その中で内容物を洗い流すなど、可能な限りの罪証隠滅をしていたと評価して差し支えない」などと一応、説明してはいる。
 しかし、この裁判官の論理ではまったく説明がつかないのが、この容器の側面にマジックで大きく「白アリ薬剤」と書いてあることだ。事件発生当時、「亜ヒ酸は白アリ駆除などに使われている」「疑惑の夫婦は白アリ駆除業を営んでいた」などと連日、盛んに報じられていたことを思えば、この事件において「白アリ薬剤」とは「亜ヒ酸」と同じ意味の言葉である。これでは、「可能な限りの罪証隠滅をしていた」とは到底言えないだろう。

林一家の旧宅のガレージから発見・押収されたという缶入りの亜ヒ酸についても、不可解なことがある。この缶の発見経緯から説明しよう。
 この家は善明寺という園部の隣町にあり、事件発生当時の住人は林夫婦の知人男性のT氏である。林夫婦は事件の約3年前、この家をT氏に売却したのだが、園部に引っ越し後もT氏に頼み、所有物の一部をこの家のガレージに置かせてもらっていた。そのことから警察はこの家のガレージを捜索し、亜ヒ酸入りの缶を見つけたという話になっている。
 ところが、T氏は3年以上もこの家に住んでいたにも関わらず、公判で弁護人の尋問に対し、そのような缶の存在に「全然気づかなかった」と証言しているのだ。
 このT氏とは、私は会うことができた。問題の缶入り亜ヒ酸が発見された家宅捜索をT氏は「ヒ素がガレージから出てきたと警察に言われたけど、俺はあんな缶、全然見覚えがない。あの時はビックリしたわ」と振り返り、こう言った。
「それから、俺はたしか居間におったと思うんやけど、警察にガレージに呼ばれ、棚にあった缶を『指させ』と言われたんや」
 これは、非常に興味深い話だ。
 というのも、この家宅捜索にあたった捜査員の証言によれば、T氏は缶入りの亜ヒ酸が発見された際、発見場所のガレージの捜索に「ずっと立ち会っていた」という話になっている。そして、そのことを裏づける証拠である捜査報告書には、ガレージの棚に置かれた亜ヒ酸の缶をT氏が指さしている写真が添付されている。
 しかし、T氏が私に語ったことが事実なら、捜査員の証言は虚偽であり、捜査員が問題の缶を発見した際にT氏は、その場に立ち会っていなかったことになる。本当にそうならば、この亜ヒ酸の缶について、T氏が見覚えがなかったという事実はきわめて重い意味を持つ。


起訴状では、健治氏やI氏の他にも4人の人間がカレー事件以前、眞須美被告人に保険金目的で亜ヒ酸や睡眠薬を飲まされたことになっていた。被害者だと認定された健治氏やI氏ですら、かくも被害者だとは信じがたい事実が多いのだから、被害者だと認定されていないその他の人物たちについても、推して知るべしだろう。
 たとえば、起訴状では、眞須美被告人に睡眠薬を飲まされ、交通事故を起こすなどしたとされていたD氏については、林夫婦が詐取した保険金の多くは、このD氏所有の休眠会社名義で契約されていた。また、起訴状では、眞須美被告人に保険金目的でヒ素入りのお好み焼きを提供され、ヒ素中毒に陥ったとされていたM氏については、退院後、独自に契約していた保険金を約2000万円受け取っていた事実が明らかになっている。














http://www.asyura.com/09/nihon29/msg/184.html

「和歌山毒カレー事件」の「冤罪疑惑」 (「本当のことを言えば、裁判はひっくり返る」)
http://www.asyura2.com/09/nihon29/msg/184.html
投稿者 児童小説 日時 2009 年 4 月 22 日 03:50:03: nh40l4DMIETCQ
(回答先: サイト紹介:「林眞須美さんを支援する会」 鈴木邦男さんの挨拶あり。 投稿者 児童小説 日時 2009 年 4 月 22 日 03:45:17)


『真日本タブー事件史』(宝島社・2008年5月20日発行) | 林眞須美さんを支援する会 / 林真須美

『「静かに広がる「和歌山毒カレー事件」の「冤罪疑惑」、
浮上する捜査と証拠の「不自然」』


日本中から「毒婦」と呼ばれた林眞須美被告人が一、二審で有罪・死刑判決を受け、現在は上告中の和歌山毒カレー事件。状況証拠のみ、動機も未解明であるこの事件の冤罪疑惑が発生から約10年になる今、静かに広がってる。この事件には、たしかに冤罪と不正捜査を疑わせる事実があまりにも多い──。

「和歌山毒カレー事件 囁かれ始めた冤罪説を追う」と題した拙稿が、別冊宝島1441号『日本タブー事件史2』に掲載されたのは、今から約1年前になる。本稿は、その原稿をほぼ全面的に書き改めたものだ。
 原稿を全面的に改訂した理由は二点ある。
 第一に、この事件の冤罪疑惑が「囁かれ始めた」という時期をもうとっくに過ぎている。かつて日本中から「毒婦」と呼ばれた林眞須美被告人の有罪判決に疑問を持ち、事件の再検証をする取材者がこの1年でずいぶん増えたため、前回の原稿が現在(2008年4月)の状況にそぐわなくなってしまったのだ。
 第二に、前回の原稿を執筆後、公判記録などを元にこの1年間、事件の再検証を進めてきた私の考えがかなり変わっている。ありていに言うと、今ではこの事件を冤罪だと私は確信し、こんな裁判がよくまかり通ってきたものだと呆れているのだ。
「タブー事件史」と題された本書を手にされるような方なら、世間に広く流布していない論説を耳にしても、さほど驚くことはないはずだ。とはいえ、この事件が冤罪だと聞いても、ピンとこない方のほうが多いと予測する。私がそう予測するのは、この事件の公判の「本当のところ」がこれまでほとんど報じられていないに等しいからだ。
 この事件の一、二審では、弁護人によって、眞須美被告人をカレー事件の犯人だと信じるには不合理な事実や、捜査の不正を伺わせる事実が数多く明らかにされている。私の調査結果も交えながら、今回はその一端を紹介させて頂こう。読者諸氏が、本稿の情報すらも客観的・批判的に見つめながら、この事件の真相を再考察してくれたなら幸いだ。

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直接証拠ゼロ、動機も未解明
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 まず、和歌山毒カレー事件のあらましを一応、確認のために振り返っておく。
 この事件が発生したのは、今から約10年前、1998年7月25日午後6時頃である。和歌山市郊外の園部という新興住宅地で催された夏祭りで、亜ヒ酸が混入されたカレーを食べた67人が急性ヒ素中毒に陥り、うち4人が死亡した。そんな被害の甚大さに加え、マスコミ総出の熾烈な取材合戦をご記憶の方も多いだろう。
 メディアが眞須美被告人と、白アリ駆除業を営んでいた夫の健治氏を「疑惑の夫婦」と呼び、「保険金目的で周囲の人物たちにヒ素や睡眠薬を飲ませていたらしい」という夫婦の疑惑を洪水のように報じ始めたのは、事件発生から1ヶ月ほど経った頃からだった。それからほどなく、「疑惑の夫婦」のうち、元保険外交員の妻(眞須美被告人)こそがカレー事件の犯人だとほのめかす報道が増えていく。その根拠として当時、盛んに報じられていたのが、健治氏のほうは自分自身もヒ素中毒らしき症状で何度も入退院していたことだ。
 要するに、保険業界の内部事情に精通した眞須美被告人が保険金詐欺の主犯で、共犯者の夫にすらも保険金目的でヒ素を飲ませていたと捜査本部が目星をつけ、それにマスコミも一斉に追随したわけだ。あの保険金疑惑報道によって当時、眞須美被告人がカレー事件の犯人だという心証を固めた人は決して少なくなかったろう。
 しかし、カレー事件と保険金詐欺はあくまで「別の事件」である。洪水のような犯人視報道と裏腹に、眞須美被告人を犯人とする証拠はきわめて貧しいのがカレー事件の実態だ。
 げんに、捜査機関はカレー事件の直接証拠を一切発見できないまま、事件発生から約2ヶ月後の同年10月4日、保険金詐欺などの容疑で眞須美被告人を別件逮捕せざるをえなかった。その後も眞須美被告人は本件のカレー事件で逮捕されるまでに、二度も別件で再逮捕されている。このように捜査機関が逮捕・勾留を繰り返したのは、めぼしい証拠が見つからなかったため、眞須美被告人から自白を引き出したかったからに他ならない。
 それでも、眞須美被告人は黙秘したまま、2002年12月11日に一審の和歌山地裁で有罪・死刑判決を言い渡されている。さらに黙秘を撤回し、自分の言葉で無実を訴えた二審の大阪高裁で05年6月28日に下された判決も、再び有罪・死刑だった。テレビや新聞の言葉を借りれば、「検察が状況証拠の積み重ねで有罪の立証に成功した」わけだ。
 ただし、動機は結局、未解明である。世の中に衝動的な殺人はいくらでもあるが、カレー事件のようなことが起こって大騒ぎになれば、眞須美被告人はむしろ困る立場だったのだ。一円の得にもならない上、過去の保険金詐欺が発覚するリスクを背負ってまで、眞須美被告人がカレーに亜ヒ酸を混入したくなる動機など、何かありえるだろうか? 事件発生当時から指摘されていたこの疑問について、裁判で答えは何も見つかっていないのだ。

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住民らの証言は激しく変遷
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 では、裁判で眞須美被告人はどのような根拠で有罪とされているのか? 一、二審の判決文を検証すると、以下の4点に集約される。

①犯行に及ぶ機会があったのは、事件当日の午後0時20分頃から1時頃まで1人でカレー鍋の見張りをしていた被告人だけである。

②被告人はカレー鍋の見張りをしていた時、不自然な行動をしていた。

③被告人の周辺から発見された亜ヒ酸と、カレー鍋に混入されていた亜ヒ酸は、科学鑑定などから「同一」だと認められる。

④ヒ素を人を殺害する道具に使っていたのは、被告人以外の事件関係者には認められない特徴である。被告人は、人の命を奪うことに対する罪障感、抵抗感が鈍麻していた。

 ①~④はどれも詳細まで検証すると、きわめて胡散臭いのが実態だ。
 まず、①についてだが、事件当日、自治会の主婦らが民家のガレージで午前8時30分頃にカレーをつくり始めてから、被害者らが午後6時頃にカレーを食べ始めるまで、9時間以上もあったのだ。しかもその間、交代でカレーの調理や見張りを務めた10人以上の主婦に加え、無数の人間がカレー鍋の周りを行き来していたことが証拠上明らかになっている。にも関わらず、9時間以上の間に40分間だけ、カレー鍋の周りに眞須美被告人しかいなかった時間帯があったと検察官や裁判官は言うのだが、いささか都合が良すぎよう。
 げんに、検察がこのような立証をするため、公判で事件当日の行動をまさに「分刻み」で詳細に証言させた住民たちの記憶が、本当にオリジナルの記憶なのか、疑わざるをえない事実も明らかになっている。
 たとえば、住民らは捜査段階で事件現場や警察学校に一同に集められ、事件当日の再現検証をやらされていた。しかも、住民らは法廷に立つ前に一様に4~5回の証人テストを受けさせられていた。これなら、捜査機関が住民らの記憶を都合良く塗り替えようと思えば、いくらでも塗り替えられたろう。
 実際、住民らの供述は変遷が激しかった。事件発生まもない時期、警察官が録取した調書にはなかった供述が、事件発生から約4ヶ月とか、約1年3ヶ月経って検察官が録取した調書に現れている例もあったほどなのだ。

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証拠の貧しさを物語る目撃証言
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 眞須美被告人がカレー鍋の見張りをしていた時、不自然な行動をしていたとされている認定(前記②)についても、眉唾物というしかない。
 ここでは、眞須美被告人の「不自然な行動」を目撃したことになっている証人を仮にA子としよう。A子は、カレー鍋が置かれていた民家のガレージの向かい側の家の住人だ。A子証言の概要は次の通り。
「被告人は、カレー鍋の置かれていたガレージの中でクマみたいに行ったり来たりしながら、カレー鍋のフタをあけ、中をのぞきこんでいました」
 この証言については事件発生当時から、あたかも決定的な目撃証言であるかのように報じられていた。そして実際、この事件の裁判において、この証言は有罪の有力な証拠として取り扱われている。
 しかし、そのことは逆に、この事件がいかに証拠が貧しいかを如実に物語っている。というのも、A子証言における「カレー鍋」とは、正確に言うと、「事件現場に2つあったカレー鍋のうち、亜ヒ酸が混入されていなかったほうの鍋」に過ぎないのだ。亜ヒ酸が入っていなかった鍋のフタをあけたところで、一体どこが「不自然な行動」なのだろうか?
 普通に考えれば、有罪の証拠になりうるか否かすら疑問であるこの証言は、その信用性に疑問符がつく点も数多くある。とくに際立つ点を3点ほど紹介しよう。
 第一に、A子証言は捜査段階で不自然きわまりない変遷をしている。当初、「自宅1階のリビング」としていた目撃場所が途中から、「自宅2階の寝室」へと変わっていたのだ。捜査の過程で証人の供述が変遷すること自体は普通だが、それにしても、1階から2階とは、あまりにも大胆な変わり方である。
 第二に、このように供述が不自然に変遷したことについて、A子が事情を説明した供述も不自然だった。
 というのも、検察官調書では、A子は「目撃場所の勘違い」に気づいたキッカケとして、
「ガレージにあったコンロや赤いゴミ箱の見え方、被告人の目線や首、肩の見え方など、自宅1階のリビングからのガレージの見え方が記憶と違うことに疑問を持ちました」
 などと説明したことになっていた。A子は法廷でも、同様の供述をしている。
 しかし、先に述べたように事件当日、10人以上の主婦たちがカレーの調理や見張りのためにこのガレージを出入りしていたにも関わらず、「赤いゴミ箱を見た」と証言した者はA子以外に1人もいないのだ。
 第三に、事件当日の眞須美被告人の服装に関しても、A子の証言はその他の住民たちの証言と食い違っていた。
 具体的に言うと、事件当日に眞須美被告人を目撃した他の住民たちの誰もが、捜査段階では眞須美被告人の服装を「黒だった」「黒っぽかった」と証言していた。加えて、当の眞須美被告人も二審の公判で「事件当日は黒いTシャツを着ていた」と証言した。そんな中、A子だけが捜査段階から一貫して、眞須美被告人の服装を「白いTシャツ」だったと証言しているのだ。
 こうなると、A子が目撃したと言っている「白いTシャツ姿の人物」は、眞須美被告人ではなく、他の誰かではないかと考えるのが通常の感覚であるはずだ。
 実際、二審で眞須美被告人は「白いTシャツ姿だったのは、一緒にいた(自分の)次女。カレー鍋のフタをあけたのも次女で、味見をするためだった」と証言している。これは、次女の証言とも合致する内容だ。加えて、事件当時は中学2年生だった眞須美被告人の次女は、写真週刊誌『フライデー』に眞須美被告人と誤認され、その姿を撮影された写真を掲載されたほど、眞須美被告人と背格好が似てもいた。
 これらをもって弁護側は一、二審共に、A子が目撃した人物を「次女」だと主張した。これは、A子証言の信用性だけでなく、「犯行に及ぶ機会があったのは、事件当日の午後0時20分頃から1時頃まで1人でカレー鍋の見張りをしていた被告人だけである」とする前記①の検察のストーリーも突き崩すための主張だった。
 一、二審判決はこの主張を退けるにあたり、眞須美被告人の証言を「他の住民らの証言とことごとく矛盾する」(二審)、次女の証言を「関係住民の供述と大きく食い違う」(一審)、「母親をかばうための虚偽」(二審)などとしたのだが、これもいかがなものか。普通に考えれば、他の住民らの証言と矛盾するのは、A子証言のほうだろう。

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不自然な証拠にまつわる核心証言
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 眞須美被告人の周辺から発見された亜ヒ酸と、カレー鍋に混入されていた亜ヒ酸が「同一」だとされている点(前記③)については、大型放射光施設「スプリング8」をはじめとする最先端の科学技術を用いた3回の鑑定の結果を元に認定されている。
 しかし、公判では鑑定結果がどーこー以前の問題として、鑑定資料となった亜ヒ酸にまつわる不自然な事実が数多く明らかになっている。
 いくつかある証拠の亜ヒ酸の中でも、何より不自然さが際立つのが、眞須美被告人の自宅の台所から発見された「プラスチック容器」に付着していた亜ヒ酸だ。
 まず、このプラスチック容器は、事件発生から約2ヶ月以上経ち、眞須美被告人が逮捕された後の家宅捜索で発見されている。つまり、眞須美被告人が本当に犯人ならば、そんな重要証拠を2ヶ月以上も自宅に置きっぱなしにしたことになるわけだ。
 この不自然さを二審判決は「被告人はマスコミの取材攻勢に遭い、同容器を投棄するなどして処分するのが困難な状況であった。その中で内容物を洗い流すなど、可能な限りの罪証隠滅をしていたと評価して差し支えない」などと一応、説明してはいる。
 しかし、この裁判官の論理ではまったく説明がつかないのが、この容器の側面にマジックで大きく「白アリ薬剤」と書いてあることだ。事件発生当時、「亜ヒ酸は白アリ駆除などに使われている」「疑惑の夫婦は白アリ駆除業を営んでいた」などと連日、盛んに報じられていたことを思えば、この事件において「白アリ薬剤」とは「亜ヒ酸」と同じ意味の言葉である。これでは、「可能な限りの罪証隠滅をしていた」とは到底言えないだろう。
 また、林一家の旧宅のガレージから発見・押収されたという缶入りの亜ヒ酸についても、不可解なことがある。この缶の発見経緯から説明しよう。
 この家は善明寺という園部の隣町にあり、事件発生当時の住人は林夫婦の知人男性のT氏である。林夫婦は事件の約3年前、この家をT氏に売却したのだが、園部に引っ越し後もT氏に頼み、所有物の一部をこの家のガレージに置かせてもらっていた。そのことから警察はこの家のガレージを捜索し、亜ヒ酸入りの缶を見つけたという話になっている。
 ところが、T氏は3年以上もこの家に住んでいたにも関わらず、公判で弁護人の尋問に対し、そのような缶の存在に「全然気づかなかった」と証言しているのだ。
 このT氏とは、私は会うことができた。問題の缶入り亜ヒ酸が発見された家宅捜索をT氏は「ヒ素がガレージから出てきたと警察に言われたけど、俺はあんな缶、全然見覚えがない。あの時はビックリしたわ」と振り返り、こう言った。
「それから、俺はたしか居間におったと思うんやけど、警察にガレージに呼ばれ、棚にあった缶を『指させ』と言われたんや」
 これは、非常に興味深い話だ。
 というのも、この家宅捜索にあたった捜査員の証言によれば、T氏は缶入りの亜ヒ酸が発見された際、発見場所のガレージの捜索に「ずっと立ち会っていた」という話になっている。そして、そのことを裏づける証拠である捜査報告書には、ガレージの棚に置かれた亜ヒ酸の缶をT氏が指さしている写真が添付されている。
 しかし、T氏が私に語ったことが事実なら、捜査員の証言は虚偽であり、捜査員が問題の缶を発見した際にT氏は、その場に立ち会っていなかったことになる。本当にそうならば、この亜ヒ酸の缶について、T氏が見覚えがなかったという事実はきわめて重い意味を持つ。

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強引に被害者にされた夫
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 眞須美被告人がヒ素を人を殺害する道具に使っており、人の命を奪うことに対する罪障感、抵抗感が鈍麻していたとされている点(前記④)については、要するに「保険金目的で夫や周囲の人物たちにヒ素や睡眠薬を飲ませていたらしい」という別件の保険金詐欺疑惑が、本件のカレー事件の状況証拠として有罪の立証・認定に使われているわけだ。
 結論から言うと、このような茶番がどうしてまかり通ってきたのか、不思議である。
 はじめから説明すると、検察はカレー事件と同時に、眞須美被告人が保険金目的で夫の健治氏や知人男性らにヒ素を飲ませていたとする殺人未遂の疑惑4件と、保険金詐欺の疑惑4件の計8件を起訴している。それに加え、保険金目的のヒ素使用疑惑7件、保険金目的の睡眠薬使用疑惑12件の計19件を、検察は「類似事実」と称して立証を試みた。
 そんな数多くの疑惑のうち、裁判で眞須美被告人の犯行、もしくは関与があったと認定されているのは、ヒ素使用疑惑4件、睡眠薬使用疑惑2件の計6件(※A)だ。まずは、この6件に話を絞ってみよう。
 6件の疑惑のうち、1件の疑惑で被害者と認定されているのは、眞須美被告人の保険金詐欺の共犯者として懲役6年の実刑判決も受けた夫の健治氏(2005年6月まで服役)だ。ちなみに起訴状では健治氏は、約9年間に4回も眞須美被告人に死亡保険金目的でヒ素を飲まされ、うち2回で予後不明の急性ヒ素中毒に陥ったことになっていた。
 賢明な読者諸氏なら、ここで早くも、検察が描いた事件の構図がそもそも不合理だったことに気づかれたろう。健治氏がそんなに何度も眞須美被告人に殺されかけながら、何も気づかずに一緒に暮らし続けたことを前提にする検察の主張はあまりにも無理がある。
 実際、健治氏は一審でこそ曖昧な証言に終始したが、二審では「保険金目的でヒ素は自分で飲んでいた」と、自分と妻が純粋な共犯関係だったと訴えている。詳細は割愛するが、その証言は、眞須美被告人の証言と細部までほとんど合致するものだった。
 それでも、二審判決は健治氏の証言を「妻をかばうための口裏合わせ」とみなして退け、健治氏を強引に被害者のイスに座らせたのだ。
 しかし、夫婦など、元々はアカの他人である。たとえ妻とはえ、自分を殺そうとした人間を、自分を貶めてまでかばうほどにお人好しな人間など、この世に存在するだろうか? その点について、健治氏は私にこう言った。
「検察や裁判官は、『林健治は妻をかばっている』なんて簡単に言いますけど、よく考えてみてください。私はカレー事件が起こったせいで過去の保険金詐欺がバレ、6年の懲役を食らった。出所後も4人の子供たちと離れて暮らすことになりました。もしも眞須美がカレー事件の犯人なら、かばう理由なんか何もありませんよ」
 これが、普通の感覚というものだろう。

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被害者らしからぬ被害者
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 問題の6件の疑惑(前記※A)のうち、健治氏の件以外の5件はすべて、同一人物が被害者とされている。林家に使用人的な立場で居候していたI氏だ。
 このI氏は公判では、検察側の最重要証人と言える存在でもあった。健治氏が眞須美被告人にヒ素を飲まされていたとする一、二審の認定も、I氏の証言が最大の拠り所にされている。それはたとえば、「被告人から提供されたくず湯を食べた健治が、激しい腹痛と嘔吐を発症するところを見た」とか、「健治が入院先の病院で意識障害に陥っていた時、病院にやってきた被告人は健治に『はよ死ね』と真剣な様子で言っていた」などである。
 しかし、一方でI氏には、本当に被害者だとは信じがたい事実があまりにも多いのだ。
 まず、I氏は起訴状では、約2年間で眞須美被告人にヒ素を4回、睡眠薬を10回飲まされ、そのたびに激しい腹痛や嘔吐を発症したり、意識不明状態になって入院したことになっていた。にも関わらず、I氏の病院のカルテには、I氏が自分の症状の原因を探ろうとした跡がまったく現れていなかったのだ。
 また、健治氏が保険金詐欺目的で入院するたび、I氏は健治氏に付き添い、健治氏が病院側に症状を重く偽るための協力もしていた。そしてその都度、ちゃんと健治氏から金銭も受け取っていたのだ。
 さらに、I氏は自らが体調が悪くなって入院した際も、いつも症状を実際より重く偽り、入院期間を引き延ばしていた。入院するたびに病院を無断外出し、パチンコをしたり、居候していた林家に戻って麻雀をするなど、入院生活をむしろ楽しんでいたとしか考えられない事実も明らかになっている。これで被害者だというのは、さすがにムシが良すぎよう。
 実際、裁判でI氏は「不正な保険金収入によって維持された林ファミリーの一員」だったと認定されている。とはいえ、これは「林夫婦の共犯者」とまでは認められていないということだ。I氏が林夫婦の保険金詐欺に協力していた事実について、一、二審判決共にI氏が林夫婦に経済的に依存していたことなどを根拠に「林夫婦に利用されていただけ」として片づけたのだ。
 さらにこの裁判では、I氏が「無口でおっとりしていて、要領の悪いタイプ」であるため、I氏が何度もヒ素や睡眠薬を飲まされながら、自分の症状の原因に気づかなかったとしても「不自然ではない」という話になっている。こうしてI氏は、被害者のイスに座らせてもらい、健治氏が眞須美被告人にヒ素を飲まされていたとする検察主張に沿うI氏の証言も、ことごとく信用性が認められているわけだ。
 このI氏にまつわる一、二審の認定は、あまりにも無理があろう。事実関係をみる限り、I氏と捜査機関が「デキている」とみたほうがはるかに自然であるはずだ。
 実際、そのことを伺わせる事実もある。カレー事件発生後まもない時期から、眞須美被告人と健治氏が起訴されるまで約4ヶ月に渡り、I氏は警察官官舎で捜査員と寝食を共にしながら取り調べを受けていたのだ。
 このいかがわしさについて、一、二審判決は共に「(林夫婦の知人ということで)取材攻勢にあっていたI本人の要請により警察官官舎に保護しただけ」という検察の主張をそのまま認めているのだが、少なくともI氏には、保険金詐欺の共犯者として立件されてもおかしくない弱みがあったのだ。仮に「保護」の実態が「身柄拘束」だったなら、捜査機関にとって約4ヶ月は、I氏から望み通りの供述を引き出すのに充分過ぎる時間だったろう。

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直撃調査に重要証人は…
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 私は実際、I氏の自宅を訪ね、自分が確信する「真相」を出勤前のI氏にぶつけてみた。
「ヒ素は、自分で飲んでいたんですよね?」
 横に並んで歩きながらの質問だったが、I氏は「へっ?」と驚いたような声をあげて歩みを止め、やや間があった後に不機嫌そうな顔をこちらに向け、「飲んでへんって」とだけ言った。
 その他にも、私はI氏と並んで歩きながら、I氏が本当に眞須美被告人にヒ素を飲まされた被害者ならば、失礼にあたる質問を次々にぶつけてみたのだが、I氏はほとんど私の顔を見ることなく、携帯電話をいじりながら押し黙ったまま歩き続けた。たまに返ってくる答えも、「ウソなんかついてへんって」などと短くつぶやくのみだった。
 私はI氏が、本当に眞須美被告人にヒ素を飲まされていたとはまったく思っていないが、それでもやはり、I氏は被害者だと思っている。警察官官舎で「身柄拘束」された4ヶ月間、I氏は相当厳しく締め上げられたのだろう。自分の証言により、かつて親しくしていた人間に死刑判決が言い渡されている現実はI氏にとって、相当心苦しいはずである。
「Iさんが本当のことを言えば、裁判はひっくり返ると思いますよ」
 私がそう言った時、終始むっつりしていたI氏が一瞬、戸惑ったような表情になったのが印象的だった。

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保険金詐欺疑惑の真相
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 起訴状では、健治氏やI氏の他にも4人の人間がカレー事件以前、眞須美被告人に保険金目的で亜ヒ酸や睡眠薬を飲まされたことになっていた。被害者だと認定された健治氏やI氏ですら、かくも被害者だとは信じがたい事実が多いのだから、被害者だと認定されていないその他の人物たちについても、推して知るべしだろう。
 たとえば、起訴状では、眞須美被告人に睡眠薬を飲まされ、交通事故を起こすなどしたとされていたD氏については、林夫婦が詐取した保険金の多くは、このD氏所有の休眠会社名義で契約されていた。また、起訴状では、眞須美被告人に保険金目的でヒ素入りのお好み焼きを提供され、ヒ素中毒に陥ったとされていたM氏については、退院後、独自に契約していた保険金を約2000万円受け取っていた事実が明らかになっている。
 そして一、二審では、こうした人物たちがI氏同様、保険金詐欺の罪を捜査機関に一切追及されることなく、眞須美被告人がカレー事件以前から「毒婦」だったとする検察の主張に沿う証言をしているのだ。眞須美被告人がカレー事件の犯人に違いないという心証を世間の多くの人に固めさせた保険金詐欺疑惑ストーリーの真相がどういうことか、賢明な読者諸氏なら、もうおわかり頂けたはずである。
「いくら捜査や裁判に怪しい点が多くても、林眞須美が犯人じゃなければ、他に誰が…」という疑念を拭いきれない人も多いだろう。その点については、残念ながら現時点では何も述べることができないが、機が熟せば、どこかで何らの形で報告したい。(文責・片岡健)




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